学生時代のアルバイト

 学生時代の夏休み。
 将来建築家になりたかった僕は地元に帰り、大工見習いのアルバイトをした。
 近所の工務店でお世話になり、平日の朝8時から夕方18時まで連日働いた。

 ずっと文系の部活やサークルに所属していた僕は体力があまりなく、正直毎日が勝負だった。
 大工さんは見ての通りと言うか、聞いていた通りと言うかやっぱりハードな仕事だった。
 もちろん一人前の大工さんのやっている仕事をやらせてもらう訳ではなく、工事現場の周りのゴミ拾いや、基礎のコンクリートを流し込む型枠を固定するのを持っていたりとか、大工さんの仕事の中では見習いの人がやる仕事であってもだ。
 結構ハード。
 正直きつい。

 普段学校に行っている時は夜更かしをして夜中まで起きているのが常だったが、この夏休みのバイトの1ヶ月間は本当に早寝で確か夜21時には寝ていた様な気がする。しかも朝も早く6:30とかに起きて工事現場へ向かっていた。

 体調の不安はあったし、ハードで早寝早起きなもんだからアッと言う間に1ヶ月は過ぎた。
 大工さんの見習いとはいえ体力仕事だったので、終わった頃には結構体力が付きひ弱な自分にも少しは自信が付いた。
 さらに大工さん見習いは時給も高く、かなりのバイト代ももらいウハウハだった。
 
 でも本当に嬉しかったのは、現場で作業している時にお客さん(家を建てる人)が見に来てくれて楽しみそうに少しずつ出来ていく家を見上げる瞬間を見られた事だ。
 本当にお客さん(建て主)は嬉しそうな顔をして家を見上げるのだ。

 「なんでかな?」と考えた。
 バイトをしていた間は気が付かなかったのだが、ハードなバイトも終わり一息ついた時にわかった。
 『”家を建てる”という現代の数少ない夢の一つを叶えられるからだ!』と。
 世の中、歳を取れば取るほど現実の壁にブチ当たり「夢なんて持ってたって叶うわけ無いじゃん」と
諦める事の方が多くなってくる。
 そんな昨今、現実的でかつ家族の喜びになる「家を建てる」という数少ない夢。
 それを叶えられるからこそ「笑顔で家を見上げる」のだと。

 建築家を目指すべく自分のハートに熱い何か燃えるものが沸き起こったのをよく覚えている

 それから10年
 毎日忙しく建築現場で新しい建物を建てるために走り回っている現場監督の僕がいる。

 あの夏休みのバイトから僕の人生の方向は確固たる指針を持ったのかもしれない。

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この記事はブログルポのアルバイト特集の依頼により執筆しました。

テーマ : 生き方 - ジャンル : ライフ

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